「上野アーティストプロジェクト」 は、「公募展のふるさと」 とも称される東京都美術館の歴史の継承と未来への発展を図るために、2017 年から始まった展覧会シリーズです。
毎年異なるテーマを設けて、公募展を舞台に活躍する作家たちを紹介しています。 その第5弾である今回は、「Everyday Life」 をテーマに、戦前から現代にいたる 6 名の女性作家を取り上げました。 |
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同時開催 東京都コレクションでたどる〈上野〉の記録と記憶 |
上野恩賜公園内やその周辺に美術館・博物館・動物園が集まる文化的な地域として親しまれる一方、小売店や飲食店が密集するアメ横もその代名詞的存在である
〈上野〉 という土地。 さまざまな歴史の舞台ともなったこの地には、過去から現在まで多種多様な人々が行き交い、ここを題材とする数多くの作品や記録が生み出されてきました。 |
'2021 11_17 上野アーティストプロジェクト 2021 「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」 合同 報道内覧会 |
画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。 |
・画像をクリックすると 「東京都美術館 高橋明也館長」 のご挨拶がご覧いただけます。 |
・No.93 丸木スマ 《簪》 1955 年 水墨彩色、紙、二曲屏風 175.0 x 182.0 cm |
上野アーティストプロジェクト |
Everyday Life : わたしは生まれなおしている |
「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」 展覧会概要 |
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本展覧会は、 第 1 章~第 3 章までの 3 章立てで構成され、各章のテーマを戦前・戦後の美術団体で活躍した女性作家が各章 2 名ごと 計 6 名で 「Everyday Life」 にそった制作作品を展示し、「生」 の再生を問いなおしています。 |
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第1章 皮膚にふれる 貴田洋子 KIDA Yoko、桂ゆき KATSURA Yuki 第2章 土地によりそう 常盤とよ子 TOKIWA Toyoko、小曽川瑠那 KOSOGAWA Runa 第3章 記憶にのこす 川村紗耶佳 KAWAMURA Sayaka、丸木スマ MARUKI Suma |
'2021 11_17 上野アーティストプロジェクト 「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」 合同 報道内覧会の展示風景・展示解説、 |
画像をクリックすると 「桂ゆき」 の作品がご覧いただけます。 |
第1章 皮膚にふれる 貴田洋子 KIDA Yoko、桂ゆき KATSURA Yuki |
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身近にある 「皮膚におなじみの」 物体と丹念に向き合うことを通じて、自然や社会と対峙し続けた画家・桂ゆき(1913-1991)。 東京・千駄木で生まれ育ち、戦前から二科会を舞台に、また戦後は女流画家協会創立に参加するなど、女性が画家となることが困難であった時代から画壇において常に注目を集める存在であり続けました。 青森・大鰐町に生まれ、近世以降の津軽地方で野良着の補強と防寒のために発展・継承された津軽こぎん刺しを独学で身につけた貴田洋子(1949-) は、こぎん刺しの伝統模様や運針規則を厳格に守りながらも、その幾何学的画面の中に独自の技術で有機的な線を登場させるなど、表現のあらたな可能性を追い求め、ふるさとやこぎんを守り伝えた津軽の女性たちへの思いを大作で表現しています。 ここでは、桂の初期の小品、コラージュ作品から 1980 年代までの作品 13 点と、貴田の初期作から新作まで 16 点の展示します。 「皮膚にふれるもの」 から広がるそれぞれの作品世界をお楽しみください。 |
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左、・No. 10 《ふるさと・北の果てに舞う》 2016 年 糸、麻布/津軽こぎん刺し 160.0 x 135.0 改組新第3回日展 作家蔵 |
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貴田 洋子 KIDA Yoko 1949- (日展/現代工芸美術家協会) |
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「こぎん刺し」 寒冷な津軽地方では木綿の栽培ができず、綿製品は高価であった。 1724 年(享保9年)の「農家倹約分限令」 により、農民は仕事着、普段着において木綿の使用が禁止され、紺麻布を着衣として用いていた。
藍染の麻布で作られた野良着の保温と補強のために木綿糸で麻に刺して、刺繍をして布地の目を埋めることで暖かい空気を着衣のなかに留めこむ、絹の使用を禁じられた土地の布であった。
布地の横糸、縦糸の目を数えながら、「奇数律」の組み合わせで、布の上に美しい幾何学模様が広がる。 |
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「略年譜の抜粋」 |
画像をクリックすると 「小曽川瑠那」 の作品がご覧いただけます。 |
第2章 土地によりそう 常盤とよ子 TOKIWA Toyoko、小曽川瑠那 KOSOGAWA Runa |
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生涯を横浜で暮らし、戦後の女性写真家の草分けの一人として活躍した常盤とよ子(1928-2019) は、1956 年の個展で発表された、横浜の赤線地帯に潜入した一連の作品で一躍脚光を浴び、その後も社会問題に強く関心を寄せ、女性、戦争孤児などを被写体に撮影を続け、後進の指導にも力を注ぎました。 |
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・常盤とよ子 このコーナーの作品は、風景撮影のみとなりました。 |
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常盤 とよ子 TOKIWA Toyoko 1928-2019 (日本写真家協会/神奈川県写真作家協会/他) |
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1950 年東京家政学院を卒業、横浜の通信社でフリーアナウンサーとなる。 1951 年、後に夫となるアマチュア写真家・奥村泰宏の勧めで写真家を目指す、アマチュア女性写真家愛好家団体 「白百合カメラクラブ」 でカメラの基礎を学びコンテストに入選。 働く女性をテーマに取材を展開、横浜・真金町 (遊郭地域) での赤線地帯の撮影をはじめ、「女性しか撮れない」 彼女たちの裏面の写真は社会的評価を受けた。 横浜を拠点に活動、早くから写真家として評価を受け、1957 年、写真のエッセイ集 『危険な毒花』 を出版。 1958 年、「女性写真家協会」 を結成。 1958 年、1959 年、1960 年と続いて個展を発表。 1995 年、奥村泰宏の後を継いで神奈川県写真作家協会会長・神奈川読売写真クラブ会長。 |
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「略年譜の抜粋」 |
画像をクリックすると 「丸木 スマ」 の作品がご覧いただけます。 |
第3章 記憶にのこす 川村紗耶佳 KAWAMURA Sayaka、丸木スマ MARUKI Suma |
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広島の農村に生まれ育ち、畑仕事や家族の世話に明け暮れて 70 歳過ぎた頃、画家である長男夫妻(丸木位里・赤松俊子) に勧められ初めて絵筆をとった丸木スマ(1875-1956)。 自身が暮らした山村の風景や、身の回りの動植物を、墨や水彩、クレヨンなどを自由自在に操り表現したその絵は、当時の画壇に驚きをもって迎え入れられました。 |
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左 ・No. 74 《I dreamt of floating》 2020 年 水性木版、和紙 70.0 x 70.0 作家蔵 |
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川村 紗耶佳 KAWAMURA Sayaka 1989- (日本版画協会) |
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数々の受賞に輝く川村は、一貫して 「記憶」 をテーマとしている事で、ここの展示コーナーの作品には、・No.74 画面全体を使った大柄な人物を阻む二つの縦型に並んだ大きな丸長方体や
・No.72、73 横になった三日月形の夢見る帽子に作家のみる夢と現実が重なる世界観の表現であろう、独特の木目を生かした木版画は全体を淡い色彩に摺り出され、和紙に調和して懐かしい人物像として現れ、何とも言えない対話が生まれる。 |
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「略年譜の抜粋」 |
お問合せ:tel 03-3823-6921 |
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館 |
参考資料:上野アーティストプロジェクト「Everyday Life : わたしは生まれなおしている」 |
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